2019年5月5日 巻頭言
「弟子たちの心を強め、信仰にしっかりとどまるように勧めて」
使徒の働き 14章22節
使徒の働き13~14章はパウロの第一次伝道旅行の働きが記されています。15章には、第一次伝道旅行が大きな成果と意義をもって終了したのちに起こった問題に対処するために行われたエルサレム会議のことが記されています。
13章では、宣教の中心点がエルサレムからアンティオキアに移ります。これ以後、新しい宣教運動はここアンティオキアを根拠地として展開されることになります。主役もペテロからパウロに替わっていきます。また、宣教の対象がユダヤ人から異邦人に移っていくのです。このようにして、異邦人に対する神の救いの御計画が次第に明らかにされ、福音の本質とその普遍的な特質が強調されていきます。
ルステラでの伝道は、思いがけないことから突然終わることになりました。アンティオキアとイコニオムから来たユダヤ人たちが、パウロとバルナバを追ってルステラまでやって来たからです。
彼らはこの町の群衆を巻き込んで、パウロを石打ちにし、死んでしまったと思い、町の外に引きずり出しました。彼は気絶していて命を取りとめることが出来ました。これは神の助けです。もし彼が気を失って「死んだもの」と思われなかったら、ほんとうにその場で殺されてしまったかもしれないのです。
翌日、パウロとバルナバはデルベに向かいました。デルベは同じくルカオニヤ地方にあったルステラ近郊の町です。ここでの二人の伝道活動の記録はわずかですが、平穏で成功した伝道であったと思われます。それから二人は、いろいろと問題の起きた地、ルステラとイコニオム、アンテオケと、来た道を引き返して行きます。その地の弟子たちを訪れては激励し、「この信仰にしっかりとどまるように」(22節)と勧めて歩いたのです。
主任牧師 石田敏則