2021年10月3日  巻頭言

なんと幸いなことでしょう。その力があなたにあり
心の中に シオンへの大路のある人は。
彼らは涙の谷を過ぎるときも そこを泉の湧く所とします。
初めの雨も そこを大いなる祝福でおおいます。

詩篇  84篇5,6節

 本日は午後に、講演会「グリーフケア」を開催します。私たちは生涯において様々な喪失を経験し、そこには深い悲しみと痛みが伴います。それは避けられないことであり、世にあっては自然なことです。そのような時に適切な援助を得ると人は回復し、悲しみから立ち直り、人生を前向きに捉え直すことができます。しかし、適切な援助がないと心には深い傷が残ります。そして、それからの人生で本人や周囲の人を傷つけることが起こり得ます。グリーフケアは深い悲しみを経験した人に寄り添い、援助することです。
 人が適切な援助を得るならば、深い悲しみを伴う喪失体験もその人の人生を彩り豊かにするものとして意味づけられます。 この世界には「失って初めて知る価値」があります。愛する人や大切な者を失う経験は大きな痛みです。けれども、適切な援助を受けてその痛みを受け止めることができるとそれによって得るものもあるのです。
 詩篇84篇は多くの人から「最も美しい詩篇」と言われます。心から主の宮を慕い、主を礼拝することの幸いを歌う作者の思いがあふれています。ところが、そのような熱い思いとは裏腹に、背景には深い喪失があると言われます。ダビデが敵に追われて荒野を彷徨った時なのか、それともバビロン捕囚で故郷から遠い異国へ連れ去られた時のことなのか、詳細は定かではありませんが、エルサレムの主の宮に行くことが叶わない悲しみの中でこの詩篇は詠まれました。
 しかしそこで作者は知るのです。たとえエルサレムの宮に行くことが叶わなくても、主に心が結びついているならばそれがどんなに大きな望みであるかを。目に見えるものはいつか失われます。しかし主は決して失われず永遠に私たちを支えてくださいます。そのことに気づいたとき、作者は苦難の中でも喜びを得ました。それは「初めの雨」、乾季で乾燥しきったイスラエルの大地を潤す恵みの雨のようです。初めの雨が地を潤し実りをもたらすように、神の恵みは渇いた心を癒やし人生に実りを与えます。

主任牧師 荻野 泰弘

10月3日  聖日礼拝 順序

第1礼拝 9時  穂谷牧師 荻野し兄
第2礼拝 11時 荻野牧師 美名子姉

前  奏
招  詞 イザヤ書49章13節
会衆賛美 聖歌36(1,2節)
会衆賛美 鹿のように(1回)
主の祈り
交  読 詩篇46篇1~11節
礼拝祈祷
使徒信条
聖書朗読 詩篇84篇1~12節
説  教 失うことから得るもの
          荻野泰弘牧師
会衆賛美 聖歌651(1,2節)
献  金 
頌  栄 聖歌376
祝  祷
報  告
感謝祈祷  奏楽