2024年5月12日  巻頭言

「イエスは、…母に『女の方、御覧なさい。あなたの息子です』と言われた。
それから、その弟子に『御覧なさい。あなたの母です』と言われた。」
 

ヨハネの福音書 19章23節~27節

 「母の日」を記念する礼拝です。その始まりは神が「あなたの父と母を敬え」と命じられたみことばにあります。十の戒めの前半は神に対して、後半は人に対するものです。イエスはこれを「神を愛し。隣人を愛せよ」の二つを重要な戒めとして教えられました。「敬う」は「重んじる(尊び大切にする)」を意味し、そのように対応することが命じられています。即ち、子どもにとって最も近しい隣人は父と母なのです。聖書はそこを人間の基底としています。そこに末永く神が祝福される道だと教えます。
 冒頭の引用聖句は、主イエスが十字架の上で発せられた七つの言葉の一つです。イエスは母に「女の方」と言われています。ヨハネには「母」と言って母をヨハネに託されています。「女の方」は『親愛と尊敬』を表わし、「母」は『母として大切にすべき人』のことです。この二つの言葉にイエスの内に在った「女の方と母」「神の子」と「人の子」に葛藤する秘められた愛の絆の響きが、心の琴線に触れて来ます。イエスの少年時代、青年時代は「父と母に仕える」生活であったことがわかります。「父と母を敬え」に徹していました。
 しかし、最後の三年半を辿ると今のイエスは十字架の上に釘づけられて死を目の前にされています。母マリアはその側に痛みと苦しみ、涙を流し立ち尽くしています。その母に、イエスはわたしの亡き後をヨハネに託す言葉をかけられました。「女の方」と呼びかけたイエスの心には堅い使命感があり、「母」という言葉には、マリアにはどんなに愛する大切な人であるかが込められていたと思います。マリアはかつて告げられたシメオンの言葉が思い出されたと思います。この幼子が救い主であり、そのために苦しみと、母であるマリアの心さえも剣が刺し貫くと言われた言葉がいま現実となっている。母の愛と力の限界を知らされたのではないでしょうか。「愛は神から出る」のです。自分の子どもを自殺で失った母親が、教会に導かれ、涙ながらに心を打ち明け、個人伝道を通して神の愛が注がれるのを感じ、自らの限界を知らず神様を無視した生き方が罪であることを知り、砕かれた心で初めてお祈りをしたのです。母の愛は最高です。それに勝るのは神の愛です。
 どうぞ、神の愛を知ってください。

田中 英 師

2024年5月12日  母の日聖日礼拝式次第

第1礼拝 9時 荻野牧師  荻野し兄
第2礼拝 11時 武山 兄  榊原 姉

前  奏
招  詞 イザヤ書43章1節
会衆賛美 聖歌651
会衆賛美 主はぶどうの木
主の祈り 
交  読 詩篇71篇1~8節
礼拝祈祷
使徒信条
聖書朗読 ヨハネの福音書 19章23~27節
説  教 御子キリストと母マリア
                田中 英 師
会衆賛美 インマヌエル讃美歌362
「罪のふちにおちいりて」
(聖歌548「罪に沈むなが友に」と同曲)
献  金
頌  栄 聖歌376
祝  祷
報告
  感謝祈祷  奏楽