2023年12月10日  巻頭言

ところが、彼らがそこにいる間に、マリアは月が満ちて、男子の初子を産んだ。そして、その子を布にくるんで飼葉桶に寝かせた。宿屋には彼らのいる場所がなかったからである。

ルカの福音書 2章6,7節

 聖歌96はクリスマスの定番「きよしこの夜」です。クリスチャンでなくても知らない人はいない世界的な名曲です。
 この聖歌の誕生にまつわるエピソードはよく知られているところです。
 19世紀のオーストリア。小さな片田舎の村で、クリスマス・イヴのその日の朝、オルガンが故障して音が出なくなりました。オルガンの部品をネズミがかじって壊れたのです。大切なクリスマスのイヴの礼拝でオルガンが使えず頭を抱えた助祭のモールは、自分が書いた歌詞にギターで弾ける簡単な曲を付けるように教会オルガニストのグルーバーに依頼します。それを即興で子どもたちと歌い、イヴ礼拝に臨みました。
 この歌が人づてに伝わり世界で歌われるほどになるとは、モールもグルーバーも思わなかったでしょう。
 人が、なぜ?どうして?と思う状況を用いて神は栄光を現わします。救い主が家畜小屋に生まれるという、人には思いもよらない方法で救いはこの世界にもたらされました。人の自分の目に映る状況がたとえ困難や不幸、あるいは望む通りでなかったとしても落胆する必要はありません。そこに神の救いがどのように現わされるかを期待して信じたいと思います。
 さて、「きよしこの夜誕生秘話」はこれで終わらないと讃美歌研究家の大塚野百合氏は言います。この歌は、単なる偶然や即興でできたのではなくて、モールとグルーバーという二人の人生があってこそというのです。彼らは生い立ちから不遇な人生をたどっていました。人の痛み、人生の苦難を経験していた彼らだからこそ、あの歌詞とあの曲を紡ぐことができたというのです。
 単に苦労すればいいということではありません。人生の痛みの中で、キリストを知り、そこに慰めを経験した人が、人を慰める存在へと変えられるということです。なぜならイエス様が飼い葉桶に象徴される人の世の痛みを負い、十字架と復活で救いを成し遂げてくださったからです。この恵みを私たちも味わいましょう。

 主任牧師 荻野 泰弘

2023年12月10日 聖日礼拝式次第

アドベント第2聖日

第1礼拝 9時 荻野牧師 荻野し兄
第2礼拝 11時 荻野牧師 榊原 姉

前  奏
招  詞 詩篇24篇7節
会衆賛美 聖歌74
【第1礼拝】会衆賛美 大いなる方に
Christmas is a time to love
主の祈り(口語訳)
交  読 詩篇62篇1~8節
礼拝祈祷
使徒信条(口語訳)
 【第2礼拝】会衆賛美 大いなる方に
 【第2礼拝】同 Christmas is a time
聖書朗読 ルカの福音書 2章1~20節
説  教 飼い葉桶のキリスト
荻野泰弘牧師
会衆賛美 聖歌96(b)
献  金 
頌  栄 聖歌376
祝  祷
報告
  感謝祈祷  奏楽