2021年11月21日 巻頭言
「イエスは答えられた。『わたしは、あなたがたに言います。もしこの人たちが黙れば、石が叫びます。』」
ルカの福音書 19章40節
当時のユダヤ社会の中には、地の民(アム・ハアレツ)と呼ばれる下層民衆がたくさんいました。貧しい漁民や農民、下級の徴税人、下層労働者たち、それに奴隷、売春婦、不治の病人たち…。そのような人々が「地の民」と呼ばれていたのでした。
彼らの働きによってユダヤ社会は支えられていたにも関わらず、経済的にはローマ帝国の権力者や大土地所有者、大商人たちから搾取されていました。また宗教的にはユダヤ教宗教家たちからは律法の細則を守れない無知な人間として軽蔑されました。
主イエスはそのような地の民と呼ばれている人々のなかに入り、癒やしの奇跡を行い福音を説かれました。そこには罪と汚れの中で自分の存在の意味を見失っている人々に、神の招きと赦しを説き、生きる希望を与えるメシアの姿がありました。
そのイエスがいまエルサレムに入城しようとしています。弟子たちはここで、彼らの師からメシアの宣言がなされ、神の国が建設されるという思いで一杯でした。弟子達は歓喜の声をあげましたが、その光景を見ていた幾人かのパリサイ人たちは面白くありませんでした。そして主イエスに弟子達を叱るように言ったところ、主イエスは「君たちに言う!もしこの者たちが沈黙するならば、石が叫ぶであろう」と返答されたのでした。陽の目をみない人々、名も無き人々、虐げられている人々…。そのような社会的弱者や抑圧された人々が叫び出すと主イエスは示唆されたのでした。
これはまた、弟子たちの理解と熱狂に誤りがあるにしても、御自分が王であることには変わりがないという主イエスの宣言でもありました。
世の中が変われば、自分は幸福になれると誰しもが思うことでしょう。でも本当に変わらなければいけないのは自分自身です。この時、弟子達は主イエスの真意に気付くことはできませんでしたが、主イエスは「それで良し」とされてエルサレムに向かわれたのでした。
担任牧師 穂谷 弘二
11月21日 聖日礼拝 順序
第1礼拝 9時 荻野牧師 荻野し兄
第2礼拝 11時 荻野牧師 美名子姉
前 奏
招 詞 ハバクク書2章20節
会衆賛美 聖歌392(1,2節)
会衆賛美 鹿のように(1回)
主の祈り
交 読 詩篇118篇19~29節
礼拝祈祷
使徒信条
聖書朗読 ルカの福音書 19章37~40節
説 教 石が叫ぶ
穂谷弘二牧師
会衆賛美 聖歌134(1,2節)
献 金
頌 栄 聖歌376
祝 祷
報 告
感謝祈祷 奏楽