2019年7月28日 巻頭言
あなたがたは、召されたその召しにふさわしく歩みなさい。
エペソ人への手紙 4章1節
今、社会のホットな話題の一つは「多様性」ではないでしょうか。人口減少に伴う外国人労働者の受け入れやLGBTQなどなど、働き方や生き方、価値観など、これまで多くの人が「普通」「常識」と感じていたものが変化することを求められています。しかし、そのような変化を良しとせずに反発する人も少なくありません。秩序が失われることへの不安や、大事にしてきた常識や伝統が失われることへの怒りもあるのでしょう。 多様性を求める人と拒む人に争いが生じ、人々が分断されている状況に心が痛みます。
教会は、と言えば、聖書は教会が多様性を持った共同体であることを示しています。
エペソ人への手紙は「キリストのからだである教会」がテーマです。人間の体が役割の違う多くの部分から成るように、教会も異なる一人ひとりによって構成され、機能します。13節から16節には、異なる者たちの群れであるからこそ、互いに刺激し合って成長し、試練や迫害、異端から守られるとあるように、健全な多様性は大きな力を生みます。
ただ、多様性と言うあまりに何の基準もないかのようにそれぞれが勝手な主義主張をするならば、教会には混乱と分裂が生まれていつかバラバラになるだけです。そこには秩序に基づく統一が必要です。みんなが同じになることではありません。多様な一人ひとりが繋がりあうことです。そして、教会の秩序とは三位一体の神を中心とすること、また、教会のかしらである主イエス・キリストの歩みに倣うことです。
「召しにふさわしい歩み」には「謙遜、柔和、寛容、愛、忍耐、平和」が伴います。
これらの性質は主イエス様が備えておられたものです。教会に集められた者同士が、このような姿勢で向かい合うことが求められています。そうする時に、お互いの違いが用いられ、互いの成長と教会の成長を促すというのです。健全な多様性を持った教会であることをこれからも目指しましょう。
担任牧師 荻野泰弘