2019年3月24日 巻頭言

『その後、イエスは出て行き、収税所に座っているレビという取税人に目を留められた。そして「わたしについて来なさい」と言われた。 』

ルカの福音書5章27節

 

 イエス・キリストは、色々な人を弟子とされました。ルカ5章の冒頭では、漁師であるペテロを弟子にされ、今度は取税人であるレビに声をかけています。「取税人」とはローマの支配下で税金を集め、納める仕事をしていました。取税人はローマの手先、ローマに魂を売り渡した者として嫌われ、軽蔑され、いつも罪人と同列に扱われていました。しかし、誰に対しても差別なく接するイエスは、その取税人を弟子に招くのです。
 その時の様子を聖書は非常に簡潔に記しています。イエスは「私について来なさい」と声をかけた。「するとレビは、・・・イエスに従った。」のです。大事なことは、イエス・キリストがレビを招いたという事実と、レビがそれに応える決断をしたという事実です。
 イエス・キリストがレビを招かれたのは、彼がお金を取り扱うのに有能であったからではありません。その人の現状がどうあれ、将来の可能性に目を留められたのです。
 パリサイ人や律法学者たちは、「なぜあなたがたは、取税人たちや罪人たちと一緒に食べたり飲んだりするのですか。」と批判しています。イエスの答えは、わたしが来たのは「罪人」を招くためであると。ここでの「罪人」とは取税人を差別していた人々、自分の正義のみを主張する人々に対する皮肉でもあったのでしょう。彼らも決して「健康な人」ではなく、「病人」であり、医者を必要としていたのです。イエスは、そのようなパリサイ人の罪のためにも、十字架にかかり、死なれたのです。イエスはすべての人々を招いていてくださるのです。イエス・キリストはあなたの命を救うために、招いておられます。

主任牧師 石田敏則