2019年3月31日 巻頭言

「人々はみな、食べて満腹した。そして余ったパン切れを集めると、十二かごあった。」

ルカの福音書 9章17節

 今日の個所は、イエスが行われた奇跡の中でも最も大勢の人々の前で行われたもので4つの福音書全てに記されている唯一の奇跡です。 
 伝道の働きを終えた弟子たちはイエスと共に船でベツサイダに退きます。しかし、群衆は弟子たちよりも先にその村に着いてしまいます。イエスは彼らを迎え、神の国のことを話しました。人々にとって最も大切な必要は、しるしを見ることや主の奇跡によって何かを得ることではなく、神の国の教えを聞き、それを信じることだと伝えたかったのでしょう。
 イエスが人々に神の国について教え、人々の病気を癒している間に夕方になりました。弟子たちは心配になり。「この群衆を解散させてください。」とイエスに申し出ます。ここに弟子たちの不信仰が現れています。これまでイエスの力ある業を何度も見てきているのに、イエスにはどんな状況をも解決できるという信仰がなかったのです。
 私たちも、神の大きな力を経験しているのに、問題や課題に直面すると、イエスの力を信じることができないと言うことはないでしょうか。
 弟子たちの訴えに対して、主は「あなたがたで、何か食べる物を上げなさい。」と言われます。彼らはイエスに答えました。「私たちには五つのパンと二匹の魚のほか何もありません。」それは、絶対に不可能であるとの答えでした。
 しかし、イエスが5つのパンと二匹の魚を手に取って、祝福して裂いて、人々に配った時、多くの人が食べ、満腹となり、残りが12のかごがいっぱいになったのです。主に信頼して歩むとき、私たちの必要を知っておられる主は、私たちの思いを超えて必要を満たしてくださいます。

主任牧師 石田敏則