2019年6月30日 巻頭言

「これらのことを書き送るのは、私たちの喜びが満ちあふれるためです。」

ヨハネの手紙第一 1章4節

 「ヨハネの福音書」が人々に信仰を起こさせ、永遠のいのちを得させるために書かれた(ヨハネ20章31節)のに対して、同じヨハネが記したこの手紙は、永遠のいのちをすでにもっていることの確信を与えるために記されました(5章13節)。
 誰に対して書かれたのかは明らかではありませんが、「私の子どもたち」「愛する者たち」と何度も記していることから、ヨハネと親しい関係にあった者たちに宛てた手紙であることがわかります。彼らは、すでに神のこどもとされているのに、まだ信仰者としての生き方を体得していないように見えました。入り込んできた異端に対しても、断固はねつけるには教理的な理解が乏しいし、自分の信仰が確立していないのに、いい加減な所で留まって信仰者がいる。だから同じことを繰り返してでも、彼らが与えられている永遠のいのちのすばらしさ「知って(分かって)」ほしかったのです。ですからヨハネは、この手紙を通して「喜びが満ちあふれるため」に幾つかの問いかけをしています。これらは、私たちへの問いかけでもあります。
 「神の子どもと言う立場を、どう捉えていますか」「御父・御子との交わりは、どうなっていますか」「罪の中を歩んでいませんか」
 この手紙は一義的にはクリスチャンに対して記された手紙ですから、ここで言われている罪は、神を知らないとか、認めないとかいう罪ではなく、クリスチャンの持っている罪、傾向性、自己中心の罪です。私たちが自覚しない(したくない)この罪の問題にも、回答を求めています。さらに「互いに愛し合っていますか」と、続きます。
 ヨハネは私たちに、創立八五周年を迎える教会に、同じ問いかけをしています。回答は?       


協力牧師  石田いつ子