2019年10月13日 巻頭言

イエスは言われた。「どうして怖がるのか、信仰の薄い者たち。」それから起き上がり、風と湖を叱りつけられた。すると、すっかり凪になった。

マタイの福音書 8章26節

 「想定外」と言われる状況が頻繁に起こる時代になりました。1ヵ月前には台風15号が首都圏に被害をもたらしました。その記憶も生々しいうちに、猛烈な勢力の台風19号がやってきました。防災の専門家は「異常気象」という言葉は使わない、と言っていました。これがスタンダードだと考えて行動するべきだというのです。それを聞きながら、「想定外」が起こるのがこの世なのだと思いました。
 自然だけではありません。私たちの生活、人生設計、自分の体、家族のこと、職場、学校、社会状況等々、あらゆる場面、状況で「思いもよらない出来事」が起こりうるのが私たちの人生です。
 しかし、すべてのことに対応するのは極めて難しいことです。私たちの力には限界があります。準備をしても不意を衝かれることがあるでしょう。予測できても手の打ちようがないときもあります。人間とはいかにはかなく、弱い存在でしょうか。文明が発達し、大地を開拓し、大昔の人々には考えられないような力を手にしました。しかし、この世界のすべてをコントロールすることは人間にはできないのです。
 だからこそ、この世のすべてを治める主イエス・キリストに頼ることが必要です。自分の力を越える大きな試練や問題に襲われて、すべてが失われるかのような苦しみに遭遇するとき、私たちと共にいて、決して尽きない希望を示してくださるのが主イエス様です。この御方に頼ることこそが、想定外が起こるこの世を生きる私たちの力です。
 弟子たちは死を覚悟する大嵐に狼狽しました。しかし、主は嵐を鎮め、大いなる神の栄光を見せてくださいました。光は闇の中に輝きます。どんな深い闇もこの光を打ち消すことはできません。主に信頼するならば、目に見えるところは困難でも、そこにも希望と平安を得るのです。

担任牧師  荻野泰弘