2019年11月17日 巻頭言

ナオミは嫁たちと連れ立って、モアブの野から帰ることにした。・・・ナオミは二人の嫁に言った。「あなたたちは、それぞれ自分の家に帰りなさい。

ルツ記 1章より

 全体を通して教えられるのは、どのような状況にあっても、神を愛し、神に従おうとする人々が居るということです。神が「人間を造ったことを悔いた」と言われた時代にあっても「ノア」が居ました(創世記6・8)。ここでは、神はご自分の計画を進めるために、ごく普通の家族を用いておられます。「エリメレク一家物語」「嫁姑物語」・・・色々と説教題を思いつきましたが本日はナオミとルツとの関係から「温かい(あったかい)絆」として、特に姑ナオミに焦点を当て、主が語ってくださったことをお分かちいたします。
 ナオミの特質は「自分の幸せより、他者の幸せに心を配った女性であった」ということです。異邦の地モアブに移り住むことも夫の決断に従っています。夫にも息子たちにも先立たれて、自分の故郷に戻ろうとすると時も、初めは嫁たちを連れて行こうとしますが、途中でモアブに残るように説得しています。ルツの決意をみるとナオミが嫁たちに、まことの神を伝えていたことが解ります。でも信仰を強制はしていません。ナオミに未来を見通す預言者的能力があったわけではありません。ただ、他者との温かい絆を大切にする女性だったので、そこに神は目を留め、ご自分の計画を進めるために用いられたのです。そのことにナオミはまだ、気づいていません。ちょうど大麦の刈り入れのころにベツレヘムに着いたこと、落穂ひろいに行くルツがボアズに出会い結婚することになる(ナオミの示唆あり)ことも神の摂理でした。
 私たちは、この地上の祝福も与えられるナオミを見るのですが、その原点がどこにあるかを捉え、他者、特に近しい人との絆の大切さを、彼女の姿から教えられるのです。

協力牧師  石田いつ子