2019年12月15日 巻頭言

「すべての人を照らすそのまことの光が世に来ようとしていた。」

ヨハネの福音書 1章9節

 今年も災害や暗いニュースの多い年でした。政治も経済も、日本の社会そのものが転換を迫られているように思います。世界に目を向けても経済的な戦いは泥沼化し混乱と憎しみが連なっています。テレビをにぎわす最近の事件からは、人間として当たり前の基準が崩れ去っていくような気がします。そのような時代だからこそ、もう一度、救い主としてお生まれくださった、キリスト誕生の意味に心を留めたいと思います。
 キリストは「世を照らすまことの光として来られた」お方です。それは「わたし(キリスト)を信じる者が、だれも闇の中にとどまることのないようにするためです」(12章46節)と語っておられます。
主イエスは命を与える光、創造者なのです。つまり生きているものすべては彼によって造られたものなのです。その神が、人となられた、それは、全く普通の赤ちゃんとしてこの地上にお生まれくださったということでした。
 当時の人々にとっては、数多く生まれて来る赤ちゃんの一人に過ぎず、それ以上の何事でもありませんでした。ですから、最初のクリスマスは本当に普通の日常的な出来事の延長だったのです。世の人々の反応は、この光なる方を拒絶したのです。宿屋が一杯で、家畜小屋しか空いていなかったというキリスト誕生の出来事がまさにそれを象徴しています。
 しかし、多くの人々の拒絶にも拘わらず、少数派であることを恐れず、イエスを約束 されたメシアであると告白し、キリストを自分のための救い主として受け入れ信仰をはっきりと告白する人々がいました。神は、その人々に「神の子となる権利」が与えられる。と約束してくださったのです。すべての者が、キリストの恵みを受け入れ、恵みあふれるクリスマスを迎えたいものです。

主任牧師  石田敏則